会議の録音を文字起こしAIに上げていい?確認する3つのこと

仕事・副業に使う

会議の録音を文字起こしAIに入れたいのですが、社内の話が外に出ることになります。上司に「それ大丈夫なの」と聞かれたら答えられません

——はてなブックマーク / 40代男性

利用規約を開いてみたけど、長すぎてどこを読めばいいのか分からない。「適切に管理します」しか書いていない気がする

——Threads / 30代女性

議事録を手で起こすのが毎回2時間かかります。ツールを使いたいのに、社内で許可を取る説明が思いつきません

——Yahoo!知恵袋 / 50代女性

「セキュリティ的に平気?」と聞かれて固まった。平気だと思うけど、根拠を示せないから何も言えなかった

——X(旧Twitter) / 30代男性

先に結論:見るところは3つだけ

手で議事録を起こすのは、本当にしんどいですよね。使えるなら使いたい。でも社内の話だから、何となくでは進められない。

そこで、確認するところを3つに決めてしまいます。

  1. 入れた音声が、そのサービスのAIの学習に使われるのか
  2. データがどこに、どれくらいの間、保存されるのか
  3. やめたいときに、どうやって消せるのか

この3つが分かれば、上司に聞かれたときに答えられます。逆にここが分からないままだと、何ページ読んでも判断できません。

なお、この記事で書くのは確認のしかたです。使っていいかどうかの最終判断は、お勤め先の規程と担当部署によります。そこは先にお伝えしておきます。


なぜ規約を読んでも判断できないのか

まじめな人ほど、まず利用規約を開きます。そして10分後、何も分からないまま閉じます。「適切に管理します」は書いてあるのに、知りたいことが書いていない。

これは探し方が悪いのではありません。規約は、提供する側が自分を守るための文書だからです。利用者が判断するために作られた文書ではないんですよね。

知りたいこと、つまり学習に使うのか、いつ消えるのか、どう消せるのかは、規約ではなくヘルプやセキュリティのページに分けて書かれていることが多いです。

家電の保証書に、使い方が書いていないのと同じです。保証書は責任の範囲を決める紙で、操作の説明は取扱説明書のほう。別の紙に分かれているだけなんです。

だから、規約を最初から読む必要はありません。見る場所を3つに決めて、そこだけ探す。これで判断に必要な材料が揃います。次に別のツールを検討するときも、同じ3つを探すだけで済みます。


確認する3つ(学習・保存期間・消し方)

何を探して、どこに書いてあって、見つけたら何をメモするか。表にするとこうなります。

確認すること書かれている場所メモしておく内容
①学習に使われるかヘルプの「セキュリティ」欄。「AI学習」「モデルの学習」という題のページ使われるのか/使わない設定があるのか/それはどのプランか
②保存期間と保存場所同じセキュリティ欄、または要約などのAI機能の説明ページ何日で消えるのか/国内のデータセンターかどうか
③消し方「退会後、データは削除されますか」のようなよくある質問退会で全部消えるのか/1件ずつ消せるのか

ここで大事なことが1つあります。同じサービスでも、契約しているプランによって扱いが変わることがあります。

たとえば国内の文字起こしサービスであるNottaの場合、ヘルプセンターの「AI学習について」というページに、音声認識の精度を上げるために音声データと認識結果からランダムに選んだデータを学習に使う、と書かれています。そして「AI学習なし」の環境は上位のプラン(エンタープライズプラン、ビジネス Plus)で提供する、という説明になっています(2026年10月時点)。

同じページには、「AI学習なし」の場合は音声データと認識結果がサーバーやストレージに保存されることは一切ない、とも書かれています。要約などの音声認識以外のAI機能については、どのプランでも学習にデータを提供していないとのことです。

つまり、「このツールは学習に使う/使わない」の一言では決まらないわけですね。どのプランで、どの機能を使うか。ここまで見ないと答えになりません。

他のサービスも、同じ情報が「セキュリティ」や「よくある質問」に置かれていることが多いです。ただし書き方も内容も各社で違うので、使う予定のサービスのページをご自身で確かめてください。


ツールの説明をどこで見るか

探す順番はこれが早いです。公式サイトの下のほうにある「ヘルプ」「サポート」から入って、「セキュリティ」という分類を探す。

そこには、学習の話だけでなく「通信は暗号化されますか」「データは国内に保存されていますか」「退会後、データは削除されますか」といった項目が並んでいることが多いです。3つの答えがまとまっているので、規約より早いです。

要約機能を使うなら、その機能の説明も見てください。文字起こしは自社の仕組みでも、要約だけ外部のAIに渡している場合があります。そこは別に書かれていることが多いところです。

Nottaの場合は、要約に使っているモデルの名前と、そのデータが学習に使われないこと、最長30日保存して削除することが専用のページに書かれていました(2026年10月時点)。こういう粒度で書いてあるサービスは、確認が楽です。

長いページから、3つだけ抜き出してもらう

次は、ある文字起こしサービスのヘルプページの文章です。
ここから次の3点だけを抜き出してください。

・入力した音声がAIの学習に使われるか(使わない設定やプランがあるか)
・データの保存期間と保存場所
・データの消し方

書かれていない項目は「記載なし」としてください。推測で補わないでください。

(ページの文章を貼る)

「記載なし」と答えさせるのがコツです。これを入れないと、一般論で埋められてしまいます。

そして「記載なし」が並んだら、それ自体が情報です。社内で説明するときに「ここは公開されていません」と言えるので、問い合わせる材料になります。


上司に聞かれたときの説明のしかた

「それ大丈夫なの?」に対して、「大丈夫です」と答えるのはおすすめしません。根拠が無いと、次の質問で詰まります。

答える形はこれです。確認した3つを並べて、確認できなかったことも正直に言う。判断は相手に渡す。

「学習については公式にこう書かれています。保存期間はこうです。消し方はこうです。ここは公開されていないので、必要なら問い合わせます」。この形だと、話が前に進みます。

もう1つ、公的な裏づけも使えます。個人情報保護委員会は2023年6月に、生成AIサービスの利用についての注意喚起を出しています。

そこでは、事業者が個人情報を含む内容を入力する場合に、提供する事業者がそのデータを機械学習に利用しないことなどを十分に確認する必要がある、という考え方が示されています。利用者側には、利用規約やプライバシーポリシーを十分に確認して判断するよう促す内容も含まれています。

つまり、今やろうとしている「3つを確認する」という動きは、公的機関が求めている確認とほぼ同じ方向です。説明のときに、ここを一言添えられると強いですね。

説明用のメモを作ってもらう

次の内容を、上司に口頭で説明するためのメモに整えてください。

・事実と、確認できていないことを分けて書いてください
・「安全です」「問題ありません」と断定しないでください
・300字以内、箇条書きで

(調べた3点を貼る)

自分で書くと、どうしても「大丈夫だと思います」が混ざります。事実と未確認を分けた形にしてもらうと、聞く側も判断しやすくなります。

このメモを作るときは、会議の中身や取引先の名前を貼る必要はありません。調べた3点だけで足ります。

始める前に確認しておきたいこと

Q
無料プランで試すだけなら、確認しなくてもいいですか?
A

試すときこそ確認してください。学習に使わない設定が上位プラン側に用意されているサービスもあるので、無料や標準のプランほど扱いが違うことがあります。

試すだけなら、社内の会議ではなく自分の独り言を録って試すのが安全です。それで精度と使い勝手は分かります。

Q
ヘルプを探しても、保存期間が書いていません
A

書かれていないこと自体を、そのまま報告して大丈夫です。「公開されていないので、問い合わせます」で話は通ります。

法人向けの窓口があるサービスなら、セキュリティに関する質問に回答する仕組みを用意しているところもあります。聞いて嫌がられる質問ではありません。

Q
参加者に断らずに、録音を文字起こしに回してもいいですか?
A

会議の冒頭でひとこと伝えておくほうが、あとが楽です。「議事録にするのでツールに通します」で足ります。

社外の人が入る会議は、特に先に断ってください。相手の会社のルールで、外部サービスに渡せない場合があります。

今日やること
使う予定のサービスのヘルプを開いて、「セキュリティ」の分類の中から、学習・保存期間・消し方の3つを探してメモするだけです。10分で終わりますし、それが上司への回答そのものになります。

確認できると、こうなります

  • 「それ大丈夫なの」に、根拠を出して答えられる
  • 別のツールを検討するときも、同じ3つを見れば判断できる
  • 自分の判断で止めずに、担当部署に渡す形にできる
  • 議事録の手作業から抜け出す道筋が立つ

記事中のサービスの記載内容は、2026年10月時点で公式のヘルプページを開いて確認したものです。プランごとの扱いや保存期間は変わることがあるので、導入の前にご自身で最新の記載をご確認ください。この記事で名前を挙げていないサービスについては、仕様を確認できていないため何も書いていません。
また、ここに書いたのは確認の手順で、法的な助言ではありません。会社の会議内容を外部サービスに渡してよいかの最終判断は、お勤め先の規程と、情報システムや法務の担当部署にご確認ください。

忘れてよくないところ

項目やること
読む順番規約からではなく、ヘルプの「セキュリティ」から見る
確認する3つ学習に使われるか/保存期間と場所/消し方
プラン同じサービスでもプランで扱いが変わる。自分の契約で確認する
要約機能文字起こしと別のAIに渡している場合がある。別ページを見る
説明のしかた事実と未確認を分けて伝え、判断は担当部署に渡す

判断できなかったのは、調べ方を知らなかっただけでした。見る場所を3つに決めてしまえば、10分で終わる作業です。

そのメモができたら、あとは上司に渡すだけ。手作業の2時間から抜け出す交渉は、そこから始められます。

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