家族の介護に使えるツールや事例をやさしく解説

使い方・活用術

介護や障害者支援にAIを使いたい。家族の介護に使えるツールや事例をやさしく解説

「母の在宅介護をしています。記録を毎日手書きでつけているのですが、量が多くて追いつかない。AIで何か楽になる方法はありますか?」

——Yahoo!知恵袋より / 50代・在宅介護中の会社員

「介護施設で働いています。記録業務に時間がかかりすぎて、利用者さんと向き合う時間が削られている。AIで記録を効率化しているところがあると聞いて、うちでも使えないか考えています」

——Xより / 30代・介護士

「父の通院に付き添うたびに医師の説明が難しくて、その場ではうまく理解できないまま帰ってくる。あとからChatGPTに「この病気についてわかりやすく教えて」と聞くようにしたら、次の受診での質問がちゃんとできるようになった」

——Xより / 40代・介護家族

「次の受診での質問がちゃんとできるようになった」——これが家族介護でのAI活用の理想的な形です。AIは医師や専門家の代わりにはなりません。でも「情報を整理する・言葉を噛み砕く・記録を形にする」という作業の負担を減らすことで、限られた時間とエネルギーをケアそのものに使えるようになります。

介護現場でのAI活用は急速に広がっています。厚生労働省も2025〜2026年度に介護現場へのテクノロジー導入を強力に推進しています。ただ、職場での導入とは別に「家族として介護をしている人がAIをどう使うか」という情報はまだ少ないんですよね。今日は家族介護から現場の担当者まで使える具体的な使い方を整理します。


「介護×AI」——何に使えて、何に使えないかを整理する

AIが得意なこと・介護現場と家族介護で使える場面

  • 介護記録の整理・要約(音声メモや手書きの内容をAIに整形してもらう)
  • ケアマネジャーへの相談内容の整理(「何を相談すべきか」の言語化)
  • 医療情報のわかりやすい解説(医師の説明を後から噛み砕く)
  • 家族会議・担当者会議のメモ作成
  • 服薬管理・症状記録の時系列整理
  • 千葉県の「いつでも福祉相談サポット」など自治体のAI相談窓口の活用

AIに任せてはいけないこと

  • 医療診断・症状判断・薬の変更判断(必ず医師・薬剤師に確認)
  • 介護保険の申請内容の最終決定(ケアマネジャーに確認)
  • 緊急時の対応判断(119・専門機関に連絡)

AIは「情報を整理するパートナー」として最も力を発揮します。「この情報を誰かに説明しやすい形にまとめてほしい」「この記録から振り返り用のサマリーを作ってほしい」という作業が、AIとの相性が一番いいんです。


家族介護・現場スタッフが今日から使えるプロンプト3つ

介護でAIを使う前に必ず確認してほしいこと

介護される方の氏名・住所・生年月日・医療情報・介護認定情報などの個人情報は、AIに直接入力しないことを強くおすすめします。「Aさん(80代・女性)」のようにダミー表現に置き換えてから入力する習慣をつけましょう。AIサービスのプライバシー設定についてはNo.119を参考にしてください。

プロンプト① ケアマネジャーへの相談内容を整理する

私は〇〇(続柄)の在宅介護をしています。
次のケアマネジャーとの面談で相談したいことがあります。
以下の状況を読んで、相談の内容を整理して「伝えるべきポイント」と「聞くべき質問リスト」を作ってください。

【最近の状況】
(例:この1週間で食事の量が減った、夜中に2〜3回トイレで起きる、デイサービスを嫌がるようになった)

【気になっていること】
(例:転倒のリスクが心配・介護負担が増えてきた・将来の施設入居について聞きたい)

個人情報は省いて記載しています。医療・介護の判断はケアマネジャーに委ねる前提で、「相談の準備」として使います。

「何を相談すればいいかわからない」という状態で面談に行くと、限られた時間が十分に使えないことがよくあります。このプロンプトで相談の骨格を作ってから行くと、ケアマネジャーとの会話の密度が変わります。

プロンプト② 医師の説明をわかりやすく整理する

受診で医師から以下の説明を受けました。
内容をわかりやすく整理して、次の受診までに確認すべきことと、
介護をする家族として知っておくべきポイントを教えてください。

【医師から言われたこと(おぼえている範囲で)】
(例:「認知機能の低下が見られる。次回MRIを撮りましょう。抗認知症薬を検討する段階かもしれない」)

医療判断はすべて主治医に委ねます。この情報を整理するための参考として使います。
不確かな部分は「次の受診で確認を」と教えてください。

受診後に「結局何を言われたんだっけ」となるのはよくある体験です。この整理をしておくと、次の受診で「前回の説明についてもう少し聞きたいんですが」と具体的に質問できるようになります。

プロンプト③ 介護記録のサマリーを週1回作る

以下は今週の介護記録のメモです(個人情報は省いています)。
この内容から「今週の状態の変化」「気になる点」「来週確認したいこと」を
箇条書きでまとめてください。

【今週のメモ(日付ごと)】
(例:
月——食事7割、夜中1回起床
火——デイサービス。スタッフから「笑顔が見られた」とのこと
水——腰痛を訴えた。市販薬を使用
木——食事5割、元気なし
金——訪問リハビリ。理学療法士から歩行練習の継続を指示)

この要約はケアマネジャーや家族との共有用として使います。

週1回このサマリーを作るだけで、介護の変化を記録として残しながら「今どういう状態か」を誰かに伝えるのが格段に楽になります。施設入居の検討や医師への情報共有にも使えます。


介護でAIを活用する前と後——何が変わるか

場面AI活用前AI活用後
ケアマネ面談の準備何を話せばいいかわからないまま行く「伝えるポイント+質問リスト」を持って臨める
医師の説明を受けた後難しくて頭に残らない・メモが散乱AIで整理→次の受診で具体的に質問できる
週の介護記録バラバラなメモが蓄積するだけ週次サマリーで変化を把握・共有できる
家族への状況報告毎回説明し直す手間があるサマリーをLINEで共有するだけで済む

介護とAIについて、よくある疑問

質問回答
千葉県の「いつでも福祉相談サポット」って何?千葉県が運営する24時間365日利用できるAI相談窓口です。インターネットまたはLINEで生活困窮・介護・子育てなど福祉分野の相談ができ、生成AIが対応して必要な支援機関への案内も行います。お住まいの自治体でも類似のサービスが始まっている場合があります
施設の介護スタッフです。職場でAIを使いたいが許可が取れないまず「どの業務をどう効率化したいか」を具体的に提案することが近道です。プロンプト③の記録整理のような「スタッフが帰宅後に個人スマホで使う」方法から始めて、効果を示してから職場導入の提案につなげている事業所もあります。AIツールは個人情報を含まない形で使うことが前提です
AIに医療情報を聞いても大丈夫?「この病気についてわかりやすく教えて」という情報収集には有効ですが、「この症状は〇〇でしょうか」という診断を求める使い方は避けてください。AIは医師ではありません。AIの回答はあくまで「次の受診で医師に確認するための準備」として使い、判断は必ず専門家に委ねてください
介護される人の個人情報をAIに入力するのは危険?名前・住所・生年月日・医療情報などの個人情報は入力しないことをおすすめします。「80代の男性」「Aさん」のようにダミー化してから使うのが安全です。詳しくはNo.119(AI利用規約・プライバシー)を参考にしてください
家族みんなで介護状況を共有するのにAIは使える?使えます。プロンプト③で作った週次サマリーをLINEやNotionで共有する方法が手軽です。「状況がわからない家族」と「毎日介護している家族」の間の情報格差を埋めるのにAIが役立ちます

介護でのAI活用を「今日から習慣にする」3ステップ

ステップ1:今日——プロンプト①か②を1回試す

次のケアマネ面談や受診を思い浮かべてください。プロンプト①で「相談リスト」、あるいはプロンプト②で「受診後の整理」を試してみましょう。個人情報をダミー化してから入力することを忘れずに。1回試すだけで「AIが介護に使える」という感覚がつかめます。

ステップ2:今週——プロンプト③で週次サマリーを作ってみる

今週の介護記録のメモ(どんな形でもOK)をプロンプト③に貼り付けて、週次サマリーを作ってみましょう。完璧なメモでなくても大丈夫です。「月曜:食欲なし」「水曜:転倒しかけた」のような断片的なメモでも整理してくれます。作ったサマリーをケアマネジャーか家族に送ってみてください。

ステップ3:自治体のAI相談窓口を調べる

「〇〇市 AI相談 福祉」などで検索して、お住まいの自治体にAI相談窓口があるか調べてみましょう。千葉県の「いつでも福祉相談サポット」のように、24時間対応の生成AI相談窓口を設けている自治体が増えています。「夜中に気になったことがある」「平日に電話が難しい」という方に特に便利です。


AIを介護に取り入れると、こんな変化があります

①「書類仕事の時間」が「ケアの時間」に変わる 介護記録・報告書・相談準備——これらにかかっていた時間がAIで圧縮されると、その分の時間とエネルギーを介護される人と向き合うことに使えます。

②「情報の孤立」が解消される 週次サマリーで家族間・専門職間の情報共有がスムーズになります。「何が起きているかわからない」という遠方の家族や、引き継ぎのある介護スタッフにとって大きな変化です。

③受診や面談の「質」が上がる 医師やケアマネジャーとの限られた時間で、本当に聞きたいことを聞けるようになります。「何を聞けばよかったんだろう」という後悔が減ります。

④24時間の「相談できる場所」ができる 夜中に「これは大丈夫なのかな」と不安になっても、AIに状況を整理してもらうことで「明日の朝に確認すること」を明確にできます。不安が漠然としたままにならずに済みます。


この記事のまとめ

  • AIは介護現場・家族介護での「記録整理・情報翻訳・相談準備」に使える。医療判断・緊急対応の代替にはならない
  • ケアマネ相談の準備・医師の説明の整理・週次介護サマリーの3つが、家族介護で最もすぐ使える活用例
  • 介護される方の個人情報(氏名・住所・医療情報)はAIに入力しない。「Aさん・80代・女性」のようにダミー化してから使う
  • 千葉県「いつでも福祉相談サポット」のような自治体のAI相談窓口が増えている。お住まいの自治体で確認してみる
  • AIは「ケアの質を下げる道具」ではなく、「書類仕事を減らして人と向き合う時間を増やす道具」として使う

今日やること:次のケアマネ面談か受診を思い浮かべて、プロンプト①か②を1回試してみてください。個人情報はダミー化して、「相談の準備」として使ってみましょう。

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